Drama
all age range
500 to 1000 words
Japanese
春の風が、桜の花びらを優しく運び、小さな村をピンク色に染めていました。
子供たちの笑い声が、いつも校庭に響き渡る、活気に満ちた場所です。
小学六年生の少女、あかりは、少し内気で、絵を描くことが大好きな女の子でした。
絵を描く時だけは、まるで別人のように、想像力豊かな世界を自由に表現することができたのです。
ゆうとは、明るく活発で、誰とでもすぐに仲良くなれる、クラスの人気者でした。
ゆうとは、あかりの才能を誰よりも認めており、いつも彼女の絵を褒めていました。
「あかりの絵は、本当にすごいよ。色使いが、まるで魔法みたいだ。」
あかりは、そんなゆうとの言葉が、何よりも嬉しかったのです。
学校からの帰り道、秘密の場所に絵を描きに行ったり、近くの小川で水切りをしたり…。
ゆうとの家族は、お父さんの仕事の都合で、遠くの街に引っ越すことになったのです。
頭の中が真っ白になり、ただゆうとの顔を見つめることしかできませんでした。
「僕が大人になったら、絶対にあかりの絵を世界中の人に見てもらえるようにする。だから…、あかりは、ずっと絵を描き続けてほしい。」
ゆうとが引っ越して行ってから、あかりは少し寂しい日々を送っていました。
しかし、ゆうとの約束を胸に、彼女は毎日絵を描き続けました。
彼女の描く絵は、ますます美しく、見る人の心を捉えるようになっていました。
ある日、あかりは、地元の美術館で開催されたコンクールに作品を出品しました。
あかりの絵は、新聞やテレビでも紹介され、多くの人が彼女の才能に注目するようになりました。
そのニュースは、遠く離れた街に住む、ゆうとの耳にも届きました。
ゆうとは、すぐにインターネットで、あかりの名前を検索しました。
そして、あかりの絵を見た瞬間、彼は息を呑みました。
あかりは、ずっと約束を守り続けてくれていたのです。
二人は、昔と変わらない笑顔で、お互いを迎えました。
二人は、これから、それぞれの夢に向かって、歩んでいくことを誓いました。
夕焼けは、今日もまた、二人の未来を優しく照らしていました。