猫村さんの憂鬱なバースデー

Comedy 35 years old and up 300 to 500 words Japanese

Story Content

猫村さんは35歳の誕生日を迎えた。独身。趣味はケーキ作りと、月に一度のワイン会。
「今年も一人か…」と、ため息をつきながら、コンビニで買った安物のコーヒーをすすった。
猫村さんは思った。「何か…何か面白いことはないのか!この退屈な毎日を打破するような!」
その日の夜、いつものようにワインを開け、一人で誕生日を祝っていた。しかし、気分は全く盛り上がらない。
「もうっ!こんなはずじゃなかったのに!」と、猫村さんはワイングラスをテーブルに置いた…少し乱暴に。
その拍子に、テーブルに置いてあった自家製ケーキが、猫村さんの顔面に直撃!
「…え?…あ…」
顔面はケーキまみれ、目はクリームで開けられない。その時、玄関のチャイムが鳴った。
猫村さんは絶望した。「誰だ…こんな姿を見られたくない…」。ドアを開けると、そこには見覚えのないイケメンが。
「あの、隣に引っ越してきた山田と申します。うるさかったら申し訳ありません。ワインの良い香りがしたので、差し入れでもと思って…って、大変ですね!?」
山田さんはケーキまみれの猫村さんを見て、目を丸くした。猫村さんは思わず「助けて…」と小声で呟いた。
山田さんは笑いを堪えながら、「まずは、そのケーキを洗い流しましょう!」と言って、猫村さんをバスルームに案内した。
その後、二人はワインを飲みながら、ケーキ事件について笑い合った。山田さんは、猫村さんの作ったケーキを絶賛した。
「猫村さんのケーキは、本当に美味しいですね!僕、パティシエを目指してるんですよ。」と山田さんは目を輝かせた。
猫村さんはドキッとした。こんな展開、まるで少女漫画だ。退屈な毎日を打破するチャンスかもしれない。
そして、猫村さんは気づいた。自分の誕生日に、コーヒーではなく、美味しいワインと素敵な出会いが待っていたのだと。
もしかしたら、来年の誕生日は一人ではないかもしれない…。ケーキのおかげで!