Drama
14 to 20 years old
2000 to 5000 words
Japanese
朝日に照らされた自室の天井が、ひどく遠くに感じた。窓から差し込む光は暖かいはずなのに、僕の心は凍てつくように冷たいままだった。あの日から、世界の色は失われたように見える。
妹の死。それは、あまりにも突然だった。いや、兆候はあったのかもしれない。でも、僕は気づけなかった。気づこうとしなかった。
リビングのテーブルに置かれた妹の写真。無邪気な笑顔が、僕の胸を締め付ける。あの笑顔を奪ったのは誰だ? 許せない。絶対に、許さない。
妹は学校で酷いいじめを受けていた。首を吊った妹を見つけた時の光景は、今でも僕の脳裏に焼き付いている。想像を絶する苦痛と絶望。それを味わった妹の気持ちを思うと、僕はいてもたってもいられなかった。
復讐。それだけが、今の僕の生きる理由だ。妹を死に追いやった加害者たちを、同じ目に遭わせてやる。 아니, それ以上に、苦しめてやる。
情報を集めるうちに、ある噂を耳にした。ある動画投稿チャンネル。それは、ただの動画投稿チャンネルではない。見る者を狂わせ、死へと誘う禁断の箱だと。人々はそれを「闇チャンネル」と呼んだ。
そのチャンネルの動画を見た者は、必ず鬱になり、精神を病んでしまう。そして、気がつけば首を吊ってこの世から戻ってこないのだという。闇に取り込まれ、二度と光を見ることができない。
だが、僕は恐れなかった。むしろ、惹かれていた。妹の苦しみを知る僕にとって、闇はもはや敵ではない。むしろ、復讐を果たすための武器になるかもしれない。
僕は、その闇チャンネルの従業員になることを決意した。目的は一つ。加害者たちを、闇の世界に引きずり込むこと。
まずは、そのチャンネルについて調べ上げた。運営者の情報、従業員の構成、動画の内容……。綿密なリサーチの結果、あることに気づいた。
そのチャンネルは、意外にも「明るい」イメージを装っていたのだ。アイドルのような存在を起用し、表向きは若者向けのエンターテイメントを提供している。
僕は、そのアイドル候補として動画投稿に応募した。幸いにも、容姿には自信があったし、何より「復讐」という強い意志が、僕を突き動かしていた。
面接はスムーズに進んだ。僕の個性的な動画投稿スタイルと、野心的な姿勢が評価されたのだ。アイドルとしての経験はなかったが、熱意を伝えることで、なんとか採用を勝ち取ることができた。
採用された僕は、すぐに研修を受けた。ダンス、歌、演技……。厳しいトレーニングの毎日だったが、復讐のためだと割り切って乗り越えた。
そして、ついに僕のアイドルとしての名前が決まった。それは、「闇のお姉さん」。なんとも皮肉なネーミングだったが、僕は気にしなかった。
闇のお姉さんとしての僕の最初の仕事は、動画配信だった。笑顔で、明るく、そして時にサイコパス的な一面を覗かせる。闇を隠し持ちながら、光を演じる。それが、僕の役割だった。
最初の動画は、予想以上に反響が大きかった。闇のお姉さんというキャラクターは、すぐに視聴者の心をつかみ、動画投稿サイトのランキングを駆け上がっていった。
人気が出れば出るほど、僕は闇に染まっていくのを感じた。笑顔の裏で、復讐の炎が静かに燃え盛る。もはや、かつての純粋な僕はどこにもいなかった。
加害者たちを闇の世界に引きずり込むための準備も、着々と進めていた。彼らの個人情報を集め、弱点を探し、そして、闇チャンネルの動画を見せるための巧妙な罠を仕掛けた。
一人、また一人と、加害者たちは僕の仕掛けた罠にハマっていった。闇チャンネルの動画を見た彼らは、次第に精神を蝕まれ、かつての横暴さは見る影もなかった。
彼らは、恐怖に怯え、絶望に打ちひしがれ、そして、自ら首を吊るという最悪の結末を迎えた。それは、妹が味わった苦痛と同じだった。 아니, それ以上のものだったかもしれない。
復讐は終わった。だが、僕の心に安寧は訪れなかった。妹の死は、僕の人生に深い傷跡を残し、そして、闇の世界に足を踏み入れた僕は、もはや後戻りすることができなかった。
闇のお姉さんとして、僕は今日も動画を配信する。笑顔の裏で、闇を抱えながら。そして、いつか自分自身も、その闇に飲み込まれる日が来るのかもしれない。妹の涙痕は、僕の心に深く刻まれ、永遠に消えることはないだろう。